立地の悪いラーメン店
最近飲食店を経営しているお客様からよく出店用地を探していると依頼をいただきます。
その時よく耳にするのが、
「誰でも知っているターミナル駅目の前、遠くても徒歩3分以内の超一等地で探しています。」
「今営業中であっても、閉店の情報があれば即ご連絡ください。」
「賃料に糸目は付けません!」
こうした好立地獲得のための熾烈な競争が繰り広げられる中で、ふと思ったのが、
「駅から少し離れている」「路地裏にある」――いわゆる立地が悪いということは、集客には不利になるんだな、と。
しかし、都内にはそんな“立地ハンデ”をものともせず、行列を作るラーメン店があります。
今回は、亀有の「つけ麺道」と駒込の「まぜそばめん佳」を例に、なぜ潰れずに営業できるのか、その戦略を分析してみます。
亀有「つけ麺道」の分析

いつ行っても行列ができている人気店で、間が空くとなぜか無性に食べたくなる、中毒性のあるつけ麺屋さんです。
普通に食べてもスープが複雑な味がしてコク深く、麺もピカピカもちもちの太麺でおいしいのですが、味変でフルーツ酢をかけたり、季節の薬味(最近は柚子胡椒でした)を入れたり、最後まで飽きずに楽しめます。
道さんの特徴はこんな感じ。
- 立地:亀有駅から徒歩5〜6分、通り沿いではなくやや分かりにくい場所。
- 人気の理由
- 圧倒的な味のクオリティ
特に看板メニューのつけ麺は高い評価を受けており、「わざわざ行く価値がある店」として知られる。 - 行列=ブランド化
開店前から並ぶ常連客が多く、並ぶほど美味しいというイメージが定着。口コミも自然に広がる。 - 限定メニューや季節メニュー
常連客を飽きさせず、リピーターを増やす工夫がされている。 - 家賃が比較的低く、素材や味に投資できる
駅前の一等地ではないため、固定費を抑えながら高品質を維持可能。
- 圧倒的な味のクオリティ
まとめ:「立地の不便さを逆手に取り、“わざわざ行く価値”を創り出しているのがつけ麺道の強み」
駒込「まぜそばめん佳」の分析

こちらもなぜかたまに食べたくなりわざわざ駒込駅まで足を運びたくなるお店です。
とにかく見た目がきれい!葉物野菜・あおさ・蒸し鶏・チャーシュー・ナッツ・ゴマ・ネギ・魚粉・卵…などなどふんだんに色彩豊かに盛り付けてあります。そしてなんといってもタレが独特で、和食のようで、洋食のようで、エスニックのような…何とも言えない、食べたことのない感じの味がします。それがめちゃくちゃおいしいんです。店主さんに聞くと、この調合は「偶然できた」らしい…。まさにミラクルです。ちなみに、夜は同じ店主さんが経営するイタリアンバーになります。
そんなまぜそばめん佳さんの特徴はこんな感じ。
- 立地:駒込駅から徒歩5分前後、細い道に入った場所で目立たない。
- 人気の理由
- ジャンル特化の希少性
まぜそば専門店としてメニューが明快で、他店では味わえない独自性を持つ。 - SNS映え・口コミ拡散
盛り付けや味の個性がSNSで話題になりやすく、新規客の獲得につながる。 - 小規模・低コスト経営
席数が限られるが家賃も抑えられており、回転率と効率を両立して安定した売上を確保。 - 地域密着・常連客
近隣住民やラーメン好きの固定客が定期的に訪れ、安定した集客を支える。
- ジャンル特化の希少性
まとめ:「専門性と口コミ、効率的な小規模経営で、立地の弱点を補っているのがめん佳の戦略」
立地が悪くても潰れない理由まとめ
- つけ麺道:圧倒的商品力+行列によるブランド力
- まぜそばめん佳:ジャンル特化+口コミ・SNS+小規模経営
立地の不便さは、逆に「わざわざ行きたい理由」を生むチャンスでもあります。私もまさにこれです。
味や独自性にこだわり、固定費を抑えつつファンを獲得することで、好立地の店舗に負けない強さを持つのです。