店舗物件の仲介をしていると、フランチャイズ展開をしている会社から「この物件を加盟希望者の店舗として検討したい」というご相談をいただくことがあります。
フランチャイズ本部が出店場所を探し、加盟希望者がその物件で店舗を開業するというケースです。
このようなフランチャイズ加盟店の店舗物件申込では、一般的な店舗の申込みとは少し違った点に注意が必要です。
それは、
フランチャイズ本部と、実際に店舗を運営する加盟者との間で、加盟契約がどこまで進んでいるのか
という点です。
フランチャイズ本部と加盟店、どちらが物件を探す?
フランチャイズによる店舗出店では、次のような流れになることがあります。
- フランチャイズへの加盟を希望する方が出てくる
- 加盟希望者が希望するエリアや店舗条件を本部に伝える
- フランチャイズ本部が条件に合う店舗物件を探す
- 本部から加盟希望者に物件を紹介する
- 加盟希望者が物件を気に入り、出店を検討する
- 店舗の賃貸借契約を進める
もちろん、すべてのフランチャイズがこの流れになるわけではありません。
本部が物件を探す場合もあれば、加盟希望者自身が物件を探して、本部が出店可否を判断する場合もあります。
また、店舗の賃貸借契約についても、
- 加盟店自身が借主になる
- フランチャイズ本部が借主になる
- 本部が契約主体となり、加盟店が保証人等になる
など、さまざまな形があります。
店舗仲介会社が「本部」とやり取りするケースで起こりやすいこと
ここで、店舗物件の仲介会社が注意したいのが、実際に店舗を運営する加盟者と直接やり取りをする機会が少ないケースです。
物件についての問い合わせや条件交渉をしているのはフランチャイズ本部。
そのため、店舗仲介会社から見ると、
「この条件なら契約できそうだ」
「この物件で出店する方向で進んでいる」
という状況でも、実際の加盟者の意思決定がどこまで固まっているのかが見えにくいことがあります。
本部と加盟者の間では話が進んでいるものの、加盟者本人としてはまだ最終決定していない、という可能性もあります。
「契約直前になって話が止まる」ことも
店舗物件では、貸主・借主双方の条件をすり合わせ、保証会社の審査や契約条件の確認などを経て、ようやく賃貸借契約へ進みます。
ところが、契約書への署名・捺印という段階になって、
「やっぱり今回は出店を見送ります」
となってしまうケースも、可能性としてはあります。
もちろん、フランチャイズだからといって必ず起こるわけではありません。
ただ、フランチャイズ本部と加盟者の間で出店についての意思確認が十分にできていない場合などには、こうした事態が起こる可能性があります。
考えられる理由としては、例えば次のようなものがあります。
① フランチャイズ加盟契約がまだ締結されていない
加盟希望者と本部との間で、まだ正式な加盟契約が締結されていない段階で物件探しが進んでいる場合、加盟者側の出店意思が最終的に確定していない可能性があります。
② 物件についてのやり取りを本部が行っている
仲介会社とのやり取りを本部が一括して行っていると、実際の出店者が物件についてどこまで理解・納得しているのかが、仲介会社からは見えにくくなることがあります。
③ 本部と加盟者との間で認識に違いがある
本部としては「この物件で進める」という認識でも、加盟者側では「まだ検討中」と考えているなど、双方の認識に差が生じている可能性もあります。
こうした状況は、仲介会社や貸主からは見えにくい部分です。
店舗物件の申込み時に確認しておきたいこと
では、フランチャイズ加盟店による店舗物件の申込みでは、何を確認しておけばよいのでしょうか。
店舗仲介の実務としては、少なくとも次のような点を確認しておくと安心です。
① フランチャイズ加盟契約の進捗状況
実際に店舗を運営する加盟者とフランチャイズ本部との間で、加盟契約が締結済みなのか、これから締結予定なのかを確認します。
まだ正式な契約前であれば、加盟者の出店意思がどの程度固まっているのかも確認しておきたいところです。
② 誰が賃貸借契約の当事者になるのか
「実際に店舗を運営するのは加盟者だが、賃貸借契約は本部が締結する」というケースもあります。
そのため、
誰が借主になるのか
誰が保証人・連帯保証人等になるのか
実際に店舗を運営するのは誰なのか
を事前に整理しておくことが重要です。
③ 本部と加盟者の双方が出店条件を理解しているか
賃料や保証金だけでなく、
- 契約期間
- 開業予定日
- 内装工事の条件
- 営業可能な業種
- 原状回復条件
- 看板・営業時間などの使用条件
など、店舗出店に関わる重要な条件について、関係者間で認識が一致しているか確認しておくことも大切です。
「フランチャイズ契約の確認」はトラブル防止のための一つのチェックポイント
フランチャイズによる店舗出店では、本部と加盟者がそれぞれ独立した事業者として契約関係を結ぶことが一般的です。
そのため、店舗物件の仲介においても、
「本部が進めているから、加盟者も当然に契約するだろう」
と考えず、実際に店舗を運営する方の意思や契約関係について確認しておくことが、トラブル防止につながります。
特に、店舗物件の申込みから賃貸借契約までに時間がかかる場合や、内装工事・設備投資など多額の費用が発生する場合には、関係者間で出店についての意思をしっかり共有しておくことが重要です。
店舗仲介では「誰が契約するのか」だけでなく「誰が出店するのか」も大切
店舗物件の仲介では、賃貸借契約の借主だけを確認すればよいとは限りません。
「誰が借りるのか」
だけでなく、
「誰が実際に店舗を運営するのか」
「その出店について、関係者の意思がどこまで固まっているのか」
まで確認することで、契約直前の認識違いやキャンセルなどのリスクを減らせる可能性があります。
フランチャイズ加盟店の出店では、本部・加盟者・貸主・仲介会社など複数の関係者が関わることがあります。
だからこそ、店舗物件の申込み段階から、関係者それぞれの役割や契約関係を整理しておくことが大切です。
店舗物件の仲介では、物件そのものだけでなく「出店の背景」まで確認する
店舗物件は、住居の賃貸とは異なり、出店者の事業計画や内装工事、許認可、設備など、さまざまな要素が関係します。
フランチャイズによる出店の場合には、さらに本部と加盟者という複数の当事者が関わります。
「誰が物件を探しているのか」だけでなく、「誰が出店するのか」「誰が契約するのか」「関係者間で出店の意思が共有されているのか」。
こうした点を一つひとつ確認することが、スムーズな店舗賃貸につながります。
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